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平成29 年度 税制改正大綱のポイント

平成28 年12 月22 日に平成29 年度税制改正大綱が閣議決定されました。
課題となっていた個人所得課税改革に着手したのをはじめ、働き方改革や経済再生を税収面から支える内容となりました。平成29 年度税制改正大綱のポイントを解説します。


■所得税の配偶者控除の見直し
所得控除38 万円の対象となる配偶者(妻)の年収要件を103 万円以下から
150 万円以下に引き下げます。
また世帯主(夫)の年収が1,120 万円を超えると所得控除38 万円の控除額が
徐々に縮小し、1,220 万円を超えると適用対象外になります。
また配偶者(妻)の年収103 万円から141 万円までの世帯に適用している配
偶者特別控除が拡大されます。配偶者が年収150 万円を超えても年収が高く
なるにつれて控除額を縮小しながら201 万円まで適用します。
■酒税改革
ビールや日本酒は減税、発泡酒・第3 のビール、ワインは増税になります。
ビール類については10 年かけて3 段階で税率を見直します。ビール、発泡
酒、第3 のビールについて、平成32 年、平成35 年に段階的に税率格差を縮
小し、平成38 年に350 ミリリットル当たりの税額を54.25 円に統一します。
また日本酒とワインのについても、平成32 年、平成35 年と段階的に税率を
見直し、税額を350 ミリリットル当たり35 円に統一します。
■エコカー減税延長
エコカー減税を平成31 年3 月まで2 年延長します。
なお減税対象の新車の燃費基準を段階的に厳しくし、対象車種を現在の新車の
9 割から平成29 年に8 割、平成30 年に7 割に絞り込みます。これにより現在
と2 年後で同じ車種を購入しても納税額が変わる可能性があります。
一方、電気自動車や燃料電池車、クリーンディーゼル車といった「次世代車」
は実際の燃費にかかわらず、引き続き税金が優遇されます。
■タワーマンションの固定資産税の見直し
平成29 年度以降に新築される高さ60 メートル超の20 階建以上のマンション
を対象に、高層階の固定資産税を増税します。
ただしマンション1 棟全体の税額は変えないため、高層階は増税、中層階は横
ばい、低層階は減税となります。
高層マンションの取引価格は景色の良い上層階の部屋の方が低層階より高い
ですが、固定資産税はこれまで床面積が同じ部屋なら階に関係なく同一でした。
今後は物件としての資産価値に応じて固定資産税も変わることとなります。
■積立型NISAを創設
株式など金融商品の売却益や配当への課税を一定範囲で免除する「少額投資
非課税制度(NISA)」に新たな制度が創設されます。非課税期間20 年、
年間投資上限40 万円とする「積立型NISA」を創設し、NISAで長期積
立ができるようになります。
国民の安定的な資産形成を促し、預貯金に偏る個人金融資産を投資に向かわ
せるのが狙いです。また若年層もコツコツ投資がしやすくなります。
現行NISA(非課税期間5 年、年間投資上限120 万円)との選択制になり
ます。
■中小の賃上げ減税拡充
中小企業向けでは、前年度に比べ2%以上賃上げをした企業を対象に法人税の
負担を一段と軽くします。約150 万社、日本の全企業数の99%以上を占める中
小企業の賃上げを税制で支援し、デフレ脱却を後押しします。
具体的には、2%以上賃上げした企業について、給与支給額増加分の22%を法
人税額から控除します。現在は、2012 年度比で3%以上賃上げしていれば、給
与支給額増加分の10%を控除する仕組みがありますが、これを拡充する形とな
ります。
■研究開発減税の見直し
研究開発減税を新しいサービス開発にも適用し、最大減税率を14%(中小企業
は17%)に拡充します。AIやビッグデータを活用したサービス開発のための
費用が税額控除の対象として認められるようになります。
具体的には、中小企業の場合、対象となる研究開発費の12%を減税(法人税額
の25%が上限)することを原則とし、研究開発費が5%超増加すると、その増
加額に応じて12~17%を減税(法人税額の35%が上限)します。
■攻めの投資を支援する税制措置
中小・小規模事業者の攻めの投資を後押しするため、中小企業投資促進税制の
上乗せ措置(即時償却等)を改組し、中小企業経営強化税制を創設します。
対象となる設備を拡充し、一定の器具備品・建物付属設備を追加します。
固定資産税の特例対象設備も地域・業種を限定した上で、同様に拡充すること
でサービス業も含め、幅広く中小企業の生産性向上を後押しします。
■仮想通貨購入は消費税が非課税に
ビットコインなどインターネット上で流通する仮想通貨を購入する際にかかる
消費税が平成29 年7 月より非課税になります。
ビットコインなどの仮想通貨は専門の取引所を通じて購入することができ、
現在は購入時に8%の消費税がかかります。

 

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